飲食店の内装工事を成功させるには?失敗しないためのポイントと費用目安

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飲食店を始めるうえで欠かせないのが、内装工事の計画です。料理の味やサービスももちろん重要ですが、内装の印象が集客や居心地の良さを左右することは少なくありません。店の雰囲気が伝わるデザインであることはもちろん、厨房や客席、トイレ、通路などが使いやすく設計されているかどうかも経営に直結する要素です。


一方で、内装工事は費用がかかるだけでなく、設計ミスや施工トラブルが後々の大きなロスにつながることもあります。「見た目重視」で進めた結果、厨房が狭すぎて動線が確保できない、設備容量が足りず追加工事が発生する――といったケースも実際にあります。


飲食店の内装工事は、単におしゃれな空間をつくるだけではありません。営業許可や消防法といった法令面の対応、安全で清潔な店舗環境、そしてスムーズな業務のための機能性を、限られた予算とスペースの中でどう実現するかが問われる分野です。これから順を追って、そのポイントを見ていきましょう。




デザインだけじゃない!内装工事に必要な機能性と法令対応

飲食店の内装設計において、見た目だけで判断してしまうと後悔することが少なくありません。たとえば、厨房設備や配管、排気・換気の設計は、見えにくい部分でありながら、営業許可を取るうえで最も重視される要素のひとつです。特に火を使う飲食業態では、防火措置や避難経路の確保、消火器の設置基準など、消防署のチェックをクリアする必要があります。


また、厨房と客席を適切に区分けすることも重要です。調理中の臭いや煙、油分が客席まで届くような設計では、快適な空間とは言えません。空調やダクトの配置は、業務用ならではの知識が必要であり、経験の浅い内装業者では不備が出ることもあります。水まわりに関しても、グリストラップ(排水油分分離装置)の設置など、保健所の基準を満たす構造が求められます。


さらに、内装工事には「建築基準法」「食品衛生法」「労働安全衛生法」など複数の法規が関係します。これらに違反していると営業開始後に是正指導が入ることもあり、事業計画そのものが遅れるリスクも考えられます。内装設計は、見た目の良さと法令対応をどう両立させるかが問われる重要な工程であり、業者選定の際にもこれらの知識と実績があるかどうかが見極めの基準になります。




内装工事にかかる費用の相場と内訳

飲食店の内装工事にかかる費用は、業態や規模、設備のグレードによって大きく変動します。一般的に、スケルトン(内装がすべて撤去された状態)からの施工であれば、坪あたり15〜30万円が目安とされます。つまり、10坪の小規模店でも最低150万円以上はかかる計算です。これに厨房機器や電気・給排水工事、空調設備などを加えると、開業費全体の中で最も大きな割合を占めることになります。


費用を構成する主な項目は、「設計費」「造作工事費」「設備工事費」「什器備品費」の4つに分けられます。設計費は内装デザインとレイアウト設計を含む部分で、全体の5〜10%程度が目安です。造作工事費とは、壁・床・天井の仕上げ、照明、建具などの施工にかかる費用で、店舗の印象を決定づける要素です。


設備工事費は見落とされがちですが、厨房の給排水・電気容量・換気設備などが含まれ、費用が読みにくいポイントです。たとえば冷蔵庫やコンロの位置に合わせてコンセントやガス管を引き直す必要があれば、追加費用が発生することもあります。また、什器や家具を既製品で揃えるか、造作でオーダーメイドするかによっても、費用に大きな差が生まれます。


費用の妥当性を判断するには、見積書の内訳をきちんと確認することが不可欠です。「一式」表記が多い見積もりは不透明になりやすく、後からの追加費用が発生する原因にもなります。工事項目ごとに分かれた見積書を提出してくれる業者であれば、費用面の安心感も高まります。




工事前にやるべきこと:設計・業者選定・スケジュール管理

内装工事は、工事そのものよりも「準備段階」にこそ手をかけるべき工程です。とくに飲食店の場合、設計内容がそのまま営業許可取得の可否や、日々のオペレーション効率に影響するため、計画段階の見落としが後々の手戻りを生みかねません。まず着手すべきは、事業コンセプトを反映したレイアウト設計です。業態(ラーメン、カフェ、居酒屋など)によって必要な厨房スペースや収納、座席配置のバランスが異なります。


その上で、工事を任せる業者選びが重要になります。業者の中には、見た目だけを重視してオペレーション効率や法令対応に配慮していない設計を提案してくるケースもあります。候補の業者が過去に飲食店の施工経験があるか、行政対応に詳しいかを事前に確認することで、着工後のトラブルを防ぐことができます。見積書は複数社から取得し、金額だけでなく内容の具体性や説明の丁寧さも比較材料にしましょう。


さらに、工期とオープン日の逆算も忘れてはいけません。内装工事の期間は、10〜20坪の小規模店舗でも3〜4週間が一般的です。設計の打ち合わせ、保健所の申請・検査、備品の納品などを含めると、全体で2〜3か月は見ておくべきです。無理に短縮しようとすると施工ミスやトラブルにつながり、結果的にコストも増える恐れがあります。余裕を持ったスケジュールと、段取り管理の徹底が内装工事成功の大前提です。




工事期間の目安と注意点:オープン日から逆算した計画が重要

飲食店の内装工事は、規模や内容により工期が変動しますが、一般的にはスケルトン物件の場合で3〜4週間、居抜き店舗の改修であれば2〜3週間が目安とされています。ただし、これは「着工してから」の期間であり、実際には設計打ち合わせや見積もり調整、申請対応などを含めると全体で2か月以上かかることも少なくありません。


注意したいのは、工事にかかる日数だけではなく、「工期がずれたときの影響」です。特に保健所の検査や消防署の完了確認は、予約や再検査に時間を要するため、工程の遅れがそのままオープン日の延期につながるリスクがあります。設備の納期遅延や施工トラブルに備え、緩衝日(予備日)を設定しておくと安心です。


また、近隣との関係も見過ごせません。工事中は騒音や臭気が発生するため、開業前に周辺住民やテナントに一言伝えておくと、後の営業にも良い影響をもたらします。万が一トラブルが発生しても、事前に信頼関係ができていれば大きな問題には発展しにくくなります。


オープン日を厳守したい場合は、工事全体の進行を一括で管理してくれる施工会社を選ぶのも有効です。設計から施工、検査対応まで一貫して任せられる体制が整っていれば、進捗確認もスムーズでトラブル対応も早くなります。

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まとめ:内装工事は店舗の“顔”。機能と印象の両立がカギ

飲食店にとって内装工事は、店舗の第一印象を左右する重要な要素であり、日々の業務効率や衛生面、さらには法令対応にも直結する工程です。見た目にこだわるだけではなく、厨房の動線や空調、給排水、消防・保健所の指導まで視野に入れた設計と施工が、長く支持される店づくりには欠かせません。


無理なスケジュールや安さだけで判断すると、あとから大きな修正が必要になることもあります。開業後に慌てることのないよう、経験豊富で信頼できるパートナーと共に、納得のいく店舗づくりを目指しましょう。

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